公開日:2020.02.05
私たちが生活をしている東京は他国から見ると、
とても不思議な都市らしいです。
世界屈指の巨大都市になったにも関わらず、
鉄道と自動車交通の状況に大きなギャップがあるからです。
東京は「電車で移動するのはとても便利なのに、クルマで移動するにはあまりにも不便」
というアンバランスな街と思われています。
特に電車に関しては、東京ほど便利な都市は海外のどこにもないとも言われていますが、
東京の鉄道網は便利である反面、路線図を各電鉄で分けないと分かりにくいほど範囲が広く複雑です。
これほど「電車は便利なのに、クルマはあまりにも不便」になった理由は簡単で、
道路よりも鉄道の整備が優先されたという歴史があるからです。
そのような電車中心の暮らしをしている日本人(都会生活者)としては、
電車は人や物を運ぶ交通手段の1つではなく、何か特殊な存在であり、
実際よりも過大に評価されているところがあるような気がします。
日本では、どこの本屋さんでも鉄道関連の書籍や雑誌が売られていますし、
ネット社会になっても、カテゴリーとして鉄道のページが存在していたり、
テレビ番組でも鉄道の旅を題材にした番組が多くあります。
このような状況を海外の人が見れば「日本人は鉄道が好き」と思うのではないでしょうか。
しかも好きだけでなく、なぜか漠然と日本人は「日本の鉄道が世界一」と思っている人が
多いのではないでしょうか。
それには、やはり東海道新幹線が開業して、鉄道で世界初の時速200km超での
営業運転が実現した、ということが大きく影響しているようにも思えます。
ただし、日本の鉄道には、世界共通の物差しで「世界一」だと評価できるものが、
年間利用者数が極端に多いことを除けば、ほとんどないようです。
もちろん「時間の正確さ」については際立っているようですが、
その背景には、鉄道で働く労働者の負担が大きくなっている、
というネガティブな面があることも忘れてはいけないと思います。
近年日本の鉄道を利用する外国人旅行者も多くなりましたが、
そんな彼らにとって日本の鉄道はどんな印象なのでしょうか。
新幹線のスピードに驚き、都会では頻繁にやってくる列車の時刻の正確さに
ビックリするかもしれませんが、せっかく利用したのにがっかりすることもあると聞きました。
また、海外旅行が趣味の1つという友人に海外の鉄道について聞いたところ、
「スイスは鉄道王国だけあって、いろんなシステムがさすがだ!」という意見がありました。
自転車が運べたり、荷物だけ先に到着駅に運んでもらい身軽に途中で観光しながら
旅ができるシステムもあるようです。
「スイスが鉄道王国」ということも知らなかったので調べてみると、
スイス人は年間1人平均50回弱ほど電車を利用するという統計結果が出ていて、
これはヨーロッパにおいて最高記録とのことです。
日本人の年間利用回数は平均70回ほどと最上位のようですが、日本人の利用距離は短く、
スイスでは、1人当たりの電車利用距離が日本の平均距離を大きく引き離し、
世界最高になっているとのことでした。
漠然と「日本の鉄道が世界一」と思っていた日本人も、
これからますます増える外国人旅行者に「期待外れ」と思われないように、
工夫や努力を積み重ねていかなければ…とつくづく思いました。
メディア部 T.S