

こんにちは。メディア部の加藤です。
交通広告を初めて出稿される広告主様から、よくこんなご相談をいただきます。
"デザインを送ったら審査で通らなかった。どこを直せばいいの?"
実は、交通広告には他のメディアにはない独自の審査基準があります。
テレビCMや新聞広告に慣れている方でも、交通広告の審査でつまずくケースは意外と多いのです。
今回は、様々な審査をくぐり抜けた私の経験から、「審査で落ちやすい表現の傾向」と「その理由・対策」をご紹介します!
この記事でわかること
- 初めて出稿で知っておきたい、交通広告の審査
- 2段階ある、交通広告の審査とは?
- 審査に落ちやすい交通広告の表現4選
- デザイン審査でよくあるQ&A
■ まず知っておきたい:審査には「2段階」ある
交通広告の審査は、大きく分けて2種類あります。
①広告主・内容審査
広告を出稿する「広告主」と、その「広告内容(業種・訴求)」が電鉄のルールに合致しているかを確認する審査です。
業種ごとに「この媒体では出稿不可」というルールが存在することがあり、また、電鉄グループの関連会社と競合する業種については、出稿に制約がかかる場合もあります。
まず広告主名と内容審査をクリアしてから動くのが基本です。
②意匠(デザイン)審査
実際のポスターやサイネージのデザインそのものを審査します。
コピー・ビジュアル・色使い・文字の大きさなど、多岐にわたる基準が適用されます。
今回のコラムでご紹介するのは、主にこちらの審査で引っかかりやすいポイントです。
「内容はOKと思っていたら、デザインで止まった」「業種の問題で出稿自体ができなかった」
——この2段階を意識しておくだけで、スムーズに進められるケースが格段に増えます。
■ なぜ交通広告は審査が厳しいのか?
交通広告の審査が厳しい最大の理由は、「公共性の高さ」にあります。
駅や電車の中は、老若男女・さまざまな価値観を持つ不特定多数の人が利用する空間です。
子どもの目にも触れますし、体調が優れない方、悩みを抱えた方が偶然目にすることもあります。
また、電車の中では「逃げ場がない」こともポイントです。
インターネット広告なら「見たくなければ閉じればいい」ですが、車内の広告や駅貼りポスターはそうはいきません。
この「意図せず目に入る」という特性があるからこそ、広告の品質に厳しい基準が設けられているのです。
■ 落ちやすい表現①:最上級・No.1系
「日本一」「業界最高品質」「No.1」——根拠資料なしには審査を通過できません。
「何の調査で」「いつ」「どの対象範囲で」No.1なのかを示す客観的なデータが必要です。
以前、クライアント様から「満足度No.1」というコピーを全面に打ち出したいとご相談を受けました。
調査は存在したものの、対象が非常に限定的で汎用的なNo.1とは言い難い内容でした。
結果として「〇〇ユーザーから選ばれた」という表現に変更し、無事に審査を通過しました。
「諦める」のではなく「言い換える」
——そうやって審査を通過するためにご協力をするのが、我々交通広告代理店の役割です。
■ 落ちやすい表現②:身体への効果・健康訴求(薬機法)
「〇〇が解消される」「〇〇に効く」「肌が若返る」
——こうした効果・効能を断定的に表現するコピーは、薬機法上、医薬品や医療機器でなければ原則使用できません。
化粧品や健康食品であれば「〇〇をサポートする」「〇〇を感じた(※個人の感想です)」に留める必要があります。
線引きが非常に細かく、慣れていないと判断が難しいのが正直なところです。
■ 落ちやすい表現③:比較広告・競合への言及
競合他社との比較を示す表現も要注意です。
比較自体がNGではありませんが、対象が明確で根拠のある数値が伴っていないと「誇大広告・不当表示」とみなされます。
特定の企業名を挙げた「〇〇社より安い」といった表現は、まず通らないと思ってください。
海外では比較に関する表現の規制が日本よりは緩く、お互いを攻撃し合う広告も見られます。
個人的にはそういった展開は好きですが…日本では難しいですね(笑)。
■ 落ちやすい表現④:ギャンブル・射幸心を煽る表現
パチンコ・スロットなどのギャンブル系広告については、路線によって掲出自体を受け付けないケースもありますが、出稿できる場合でも「射幸心を煽る表現」は不可とされています。
…正直に言うと、「射幸心(しゃこうしん)」という言葉はこの業界に入り始めて知りました(笑)。
「うまくいけば大きな利益を得られるという期待感を刺激する」という意味で、「今日こそ大当たり!」「夢の大連チャン!」といった表現がこれに該当します。
公共広告の場で過度な期待感を煽ることは認められていません。
■ クイズ:これはなぜNGでしょう?
ここからは少し趣向を変えて、実際にあり得る事例をクイズ形式でご紹介します。
「なんでこれがダメなの?」と思うかもしれませんが、理由を知ると納得感があります。
Q. フロア広告に人物や動物の写真・イラストを使ったらNGでした。なぜ?
A. フロアに人や動物が描かれていると、利用者が「踏みにくい」「踏むことへの抵抗感」を感じ、通行の妨げになる恐れがあるためです。
特に子どもや高齢者が多い路線では配慮が求められます。
デザインの際は、ロゴ・テキストを中心に構成するのがベターです。
Q. 駅ホームの広告で生肉の写真を使ったらNGでした。なぜ?
A. 生肉の写真は事故を想起させるということで、ホーム上の掲出NGでした。
運転手の方にとってセンシティブな内容となるため、生肉に見えないデザインに変更したり、サイズを小さくして対応しました。
Q. 階段の集中貼り広告で、「Q1→Q2→Q3…」とクイズ形式にしたらNGでした。なぜ?
A. 集中貼りとはB0あるいはB1サイズのポスターを階段等に連続して掲出することです。
クイズ形式は「続きが読みたい」という心理を生み、利用者が足を止めたり、逆走したりする恐れがあります。
階段は通行安全が最優先されるため、立ち止まりや逆行を誘発するコンテンツは不可とされています。
1つのデザイン内に答えも表記することで審査をくぐり抜けました。
Q. 人通りが多い場所でQRコード付きの広告を出したらNGでした。なぜ?
A. QRコードをスキャンしようとする人が立ち止まり、混雑・通行障害を引き起こす恐れがあるためです。
階段、ホーム上、改札前などQRコードの掲出を認めていない媒体があります。
これはよく引っかかるポイントなので…事前にQR可否はお問い合わせいただいた方が良いかと思います。
Q. モデルさんのタトゥーが写り込んだビジュアルをそのまま使ったらNGでした。なぜ?
A. タトゥー・刺青の表現は、不可としている電鉄が多いです。
特定のイメージや集団への偏見・不快感につながるおそれがあるためです。
ビジュアルの修正(レタッチ)か、別カットの使用で対応することになります。
最近は多くのスポーツ選手にタトゥーが入っているので、上手く隠す対応が必要になります…。
■ 知っておきたい:広告主名の記載義務
見落としがちですが、交通広告には「広告主名を表記すること」が原則として義務付けられています。
企業名が明示されていないデザインは、審査の段階で差し戻しになります。
責任の所在を記載する必要があるためです。
デザインをシンプルにしたいがために社名を小さく省いてしまうケースがありますが、これはNGです。
どこかに必ず広告主が特定できる表記を入れるようにしましょう。
■ 業種規制と総量規制にも注意
業種によっては、媒体ごとに「出稿可能な枚数・面数の上限(総量規制)」が設けられているケースがあります。
たとえば「この駅でのパチンコの広告は、同時期に〇面まで」といったルールです。
また、電鉄グループの関連会社と競合する業種については、出稿に関して制約がかかることがあります。
旅行代理店・不動産・金融など、電鉄グループが自社でサービスを展開している領域では、競合調整が必要なケースが生じます。
「他の駅では出せたのに、この駅では出せなかった」という状況もあり得ます。
■ 屋外広告・ラッピングは審査が複数に渡る
最後に、屋外媒体(野立て看板・デジタルサイネージ)や電車・バスのラッピング広告を検討される場合の注意点です。
これらは電鉄の審査だけで完結しません。
設置場所によっては各自治体への申請や、屋外広告協会への確認が必要になります。
審査窓口が複数になるため、スケジュールが想定より長くなることがよくあります。
「掲出したい時期の2〜3週間前に申請すれば大丈夫」と思っていると、気づいたときには間に合わない——という事態になりかねません。
屋外・ラッピング系を検討される場合は、通常より早めに動くことを強くおすすめします。
■ まとめ:審査は「知識」と「早めの行動」で乗り越えられる
交通広告の審査は一見複雑に思えますが、「なぜその基準があるのか」を理解すると、対策も立てやすくなります。
審査の種類(広告主・意匠)、落ちやすい表現のパターン、業種規制・総量規制、屋外の複数審査——これらをあらかじめ把握した上で進めることで、スムーズな出稿につながります。
弊社・春光社では、長年の交通広告取り扱い実績をもとに、デザイン審査の観点からも広告プランニングのサポートを行っております。
「これ通るかな?」「どこに確認すればいいの?」という疑問は、ぜひお気軽にお声がけください!
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