

広告を見た人の心に、どんな変化が起きたのか。それを数字で捉えるのが「ブランドリフト」という考え方です。
クリック率や購入件数といった直接的な行動だけでは読み取れない、ブランドへの認知や印象の変化を調べることで、広告が本当に効果的だったのかどうかを明らかにできます。特に、交通広告のように「見てもすぐに行動に移らない」タイプの広告施策では、ブランドリフトが非常に役立ちます。
この記事では、ブランドリフトの意味や測定項目、調査方法などを解説します。
ブランドリフトは「広告がどれだけ心を動かしたか」を測る指標
ブランドリフトとは、広告に接触した人とそうでない人を比べることで、広告によってブランドの「認知度」「好意度」「購入意向」などがどの程度変化したかを数値化する調査手法です。
クリック数や資料請求などの行動データだけでは分からない、心の中で起きた「気づき」や「印象の変化」を測ることができます。認知されているか、好きになったか、使ってみたいと思ったかなど、段階的な変化を把握するのにも活用できます。
広告配信における効果検証の新たな基準に
従来の指標だけでは把握しきれない「印象への影響」や「ブランドとの関係構築度合い」も、ブランドリフト調査なら明らかにできます。
「見た・見ていない」だけでなく、「どれくらい心に残ったか」を調べられるため、単に記憶に残ったかだけでなく、ブランドに対する信頼感や共感まで確認できるのが特徴です。加えて、広告を見たあとに検索したか、購入意欲がわいたかなども調査できます。さらに、商品やサービスがまだ知られていない段階での「入口施策」としての効果も測れます。
ブランドリフト調査で測定できる主な項目
ブランドリフト調査では、広告接触によるブランドへの態度変容を多角的に測定します。主に調べられるのは以下の項目です。
広告想起率
「最近このブランドの広告を見たかどうか」を尋ねる設問で、記憶への定着度を測ります。
広告が印象に残っているかという大枠だけでなく、ビジュアルやキャッチコピーを覚えているかまで調べるのが特徴です。広告を配信してから間を空けずに実施すると、記憶が新しいのでより正確な結果が得られるでしょう。結果から、記憶への影響度を読み取れます。
ブランド認知度
ブランドの名前を知っていたか、聞いたことがあるかといった設問で、浸透具合を確認します。調査では、「知っている」「聞いたことはある」「知らない」のような選択肢を設けるのが一般的です。
「広告で見た=知っている」とは限らないため、広告効果とは別に見る必要もあります。認知が低い場合は、広告の見せ方や伝える内容を再検討するきっかけになるでしょう。また、競合との比較で自社の立ち位置を知ることもできます。
好意度・比較検討意向
好意度と比較検討意向は、広告接触後の感情面での変化を測る項目です。調査では「この中で好感を持ったブランドは?」「他社と比べて検討したいと思ったか?」などの質問を行います。これにより、広告を見た人と見ていない人で、ブランドに対する好意度がどの程度違うかを数値化できます。
また、「なんとなく印象がよくなった」「信頼できそう」「親しみやすい」といった漠然とした印象が数値化されることで、今後の施策に役立てられるでしょう。加えて、他社商品を検討していた人が、広告を見たことで自社商品も選択肢に加えたかどうかも把握できます。
購入意向
購入意向は、広告接触後の購買行動に最も近い態度変容を測る指標です。「次に使うとしたらどのブランドを選ぶか」といった質問で測定し、広告によって「機会があれば買ってみたい」という気持ちがどれだけ生まれたかを数値化します。実際の購入には至っていなくても、広告の影響でブランドが「選択肢に入った」かどうかが重要な判断材料です。
分析では、広告を見た人を購入意向の強弱で層別し、どのような属性の人に効果があったかを詳しく調べることが一般的です。
ブランドに対する信頼度
ブランドに対する信頼度は、広告接触によって「安心できる」「信頼できる」といった感情がどの程度変化したかを測定する項目です。「このブランドの商品・サービスは信頼できると思うか」「長期的に利用したいと思うか」といった質問を通じて、広告がブランドへの信頼感にどう影響したかを数値化します。
ブランドリフトの調査方法は複数ある
ブランドリフト調査を実施する方法は複数あり、目的や予算に応じて選択できます。それぞれの特徴を理解して、適切な手法を選びましょう。
インバナーサーベイ
デジタル広告と組み合わせて、バナー上にポップアップでアンケートを表示する方式です。Webサイトを見ている途中に、画面の一部に質問が表示される形式となります。広告を見た直後に感想を聞けるため、記憶が新しいうちに回答が得られるのが大きな特徴です。
設問は1〜3問程度に絞られることが多く、短時間で回答できるため参加のハードルは低めです。回答率は比較的高い一方で、設問数が限られる分、細かい情報までは収集しにくいという面があります。
リードバナーアンケート
広告をクリックするとアンケート専用ページに遷移し、回答してもらう手法です。インバナーサーベイよりも設問数を多く設定でき、詳細なデータを集めやすいのが特徴です。自由記述形式や画像を用いた質問など、柔軟な設計が可能で幅広い情報を得られます。
広告に興味を持った人がアンケートに進むため、広告効果が高い層の意見が集まりやすい傾向にあります。ただし、ページ遷移が必要になるため途中離脱が一定数発生しやすく、コストもやや高めになる点には注意が必要です。
調査会社のモニタを活用する方法
調査会社が保有するパネルモニタに対し、広告接触の有無とブランド指標を比較する形式です。タグ設置や視認ログを用いて広告接触を把握できる場合もあり、より正確な調査設計が可能です。
また、あらかじめ年齢や性別、居住地域などの属性が分かっている対象者を選定できるため、分析の精度が高まります。広告を見た人と見ていない人を明確に分けて比較できる点もメリットです。
広告配信プラットフォームの機能を使う方法
YouTubeやSNS広告などの配信サービスが持つアンケート機能を活用して調査を行う方法です。配信されるデジタル広告と連動して測定できるため、オンライン施策との親和性が高いのが特徴です。
一方で、サービスごとに最低出稿金額が設定されている場合があり、予算との兼ね合いを考慮する必要があります。設問数やターゲティング設定に制約があるケースも見られるため、どの程度の自由度があるのか事前に確認しておきましょう。
交通広告におけるブランドリフトの活用シーン
ここまでデジタル広告と連動した調査方法を中心に紹介しましたが、「駅のポスターのようなオフライン媒体ではどう調査するのか?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
交通広告は「特定の駅や路線」といった場所と利用者が明確に紐づいているため、調査会社のパネルモニタを活用し、そのエリアの利用者を対象にアンケートを行うといった手法で調査が可能です。そのため、クリックなどの直接的な効果が計測しにくい交通広告は、ブランドリフト調査と相性が良い媒体と言えます。実際の活用シーンを見ていきましょう。
認知度アップ施策の検証
駅構内の大型広告や電車内ビジョンなど、リーチが広い広告の効果を把握するために活用されています。認知拡大が目的の施策で、どれだけ名前を知ってもらえたかを数値で確認できることに加え、通勤・通学のルート上で繰り返し目にするため、記憶への定着度が高まりやすいのが特徴です。
調査では「見た覚えがある」と感じた人の割合を把握でき、次回の出稿計画にも役立てられます。また、掲載場所ごとの効果比較も行えるため、どの場所が最も効果的だったかを明確にできるでしょう。
キャンペーン効果の中間チェックに
ブランドリフトは広告掲載中でも実施できるため、訴求内容を途中で見直す際に役立ちます。広告が意図通りの印象を与えているかを確認でき、ターゲットに響いていないと分かればデザインやコピーの修正も検討しやすくなるでしょう。
特に長期間にわたる交通広告キャンペーンでは、途中で効果を測れる点は大きなメリットです。短期のイベント広告でも、施策の手応えを早めに把握し、必要に応じて追加施策につなげられます。
オンライン施策とのクロスメディア分析
Web広告と交通広告を同時に出稿し、どちらがどの層に影響を与えたかを可視化するなど、多媒体の効果比較にも活用可能です。Web広告は即時性、交通広告は視覚の刷り込みに強みがありますが、ブランドリフト調査を使えば、各媒体がどの指標に影響したかを切り分けて確認できます。
また、媒体ごとに効果が異なるターゲット層を明らかにすることで、より精度の高いターゲティングも可能です。広告費の分配や、今後の予算配分の見直しにも役立ちます。
ブランドリフトを活用して、広告の本当の価値を見極めよう
広告がどれだけ多くの人に届いたかだけでなく、その広告が「どう心に残ったか」を測ることで、より本質的な広告効果の見極めが可能になります。
ブランドリフト調査は、認知度・好意度・購入意向など、感情や印象の変化を数字で捉える手法です。デジタル広告だけでなく、駅構内のポスターや電車内の動画広告といった交通広告にも応用しやすく、効果の検証や今後の改善策を考える上で役立ちます。
ブランドリフトの視点を取り入れることで、より納得感のある広告評価と、次の一手への判断材料が手に入るでしょう。
しかし、実際に交通広告でブランドリフト調査を行うには、適切な設問設計や比較対象の設定、結果の分析など、専門的なノウハウが求められます。
私たち春光社は、交通広告の効果を最大化するためのプランニングはもちろん、その広告の本当の価値を可視化するブランドリフト調査の設計・実施まで、一貫してサポートいたします。
「交通広告の効果をしっかりと見極めたい」「データに基づいて次の一手を考えたい」とお考えでしたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください
※本コラムの内容は執筆当時の情報です。最新情報についてはお問い合わせください。

営業部 春光
交通広告を通じてブランド認知を最大化するプロフェッショナル!
駅や電車、バスなどの交通メディアを駆使し、お客様のブランド認知やターゲット層へのアプローチを支援しています。 長年の経験をもとに、最適な広告プランを考え、お客様のニーズに合わせた柔軟な対応で、常に最前線の交通広告を提案いたします!







