訪日外国人観光客が多く行き交う駅や空港、電車内での広告は、旅先での行動に直接影響を与える有効な手段です。現地で目にする交通広告は、飲食・観光・ショッピングの意思決定にもつながる重要な情報源。特に、言葉の壁を越えて伝えられるデザイン性やSNS映えを意識した広告は、印象にも残りやすくなります。本記事では、インバウンド向けに最適な交通広告の種類と、効果的な設計・掲出のコツを解説します。
インバウンド向け交通広告の基本を押さえよう
首都圏では、多様な交通広告媒体が存在し、それぞれが訪日外国人へのアプローチにおいて異なる強みを持っています。ここでは代表的な交通広告の種類をまとめました。
駅広告
駅広告は、駅構内の壁面や柱などを利用した広告媒体です。多くの乗降客が行き交う駅では、ポスター広告や柱を利用した柱巻き広告などが代表的です。特に外国人観光客が乗り換えや待ち合わせなどで長時間滞在する可能性のある主要駅では、彼らの目に触れる機会が多くなります。
電車内広告
電車内広告はJR山手線や東京メトロ各線など、多くの訪日外国人が利用する路線の車両内に掲出されます。代表的なものに、車内に吊り下げられる「中吊りポスター」や、ドアの横に掲出される「ドア横ポスター」、窓上の「まど上ポスター」、車両の床や窓に貼られる「ステッカー広告」、車両内ビジョンで放映される「サイネージ広告」などがあります。
デジタルサイネージ
デジタルサイネージは、駅構内や商業施設、屋外などに設置された液晶ディスプレイやLEDビジョンに映像や情報を表示する広告媒体です。特に、渋谷のスクランブル交差点といった象徴的な場所に設置された大型ビジョンは、圧倒的な視認性を誇ります。
空港広告
成田空港や羽田空港といった国際空港のターミナル内に掲出される広告です。到着ロビーや手荷物受取所、出発前のコンコースなどが主な掲出場所となり、訪日外国人にとっては日本での最初の接点となるため、第一印象を形成する上で重要な役割を担います。
なぜインバウンド施策に交通広告が有効なのか
交通広告がインバウンド施策において効果的な理由は、単に多くの人の目に触れるという点だけではありません。訪日外国人特有の行動や心理に深く関わっています。
外国人観光客は、現地で得る「リアルな情報」に大きな影響を受ける傾向がある。
多くの外国人観光客は、旅行前にインターネットやガイドブックで情報を収集しますが、実際に現地に到着してからは、そこで目にする「リアルな情報」に強く影響される傾向があります。交通広告は、彼らが日常的に移動する空間に物理的に存在するため、より信頼性が高く、タイムリーな情報源として認識されやすいのです。
特に、位置情報と連動した広告や、その場で役立つ情報を提供する広告は、観光客の行動を具体的に誘導する力を持っています。言語の壁を超えて視覚的に魅力を伝えることができれば、現地での体験意欲も刺激できるはず。つまり、交通広告は、彼らがまさにその情報を必要としている瞬間に、効果的な形でメッセージを届ける可能性を秘めているのです。
SNS映えや写真撮影を通じた二次拡散も期待できる。
首都圏は広告の密度が非常に高いエリアです。この環境下で注目を集めるためには、単に情報を伝えるだけでなく、クリエイティブの質が重要になります。
特に、視覚的にインパクトがあり、思わず写真に撮りたくなるような広告は、訪日外国人のSNS投稿を通じて二次的に拡散される可能性があります。例えば、新宿の3D巨大猫の広告 や、渋谷スクランブル交差点の大型ビジョン広告は、それ自体が観光の対象となり、多くの写真や動画がSNSで共有されています。
このようなSNS映えを意識した広告は、物理的な掲出範囲を超えて、世界中にメッセージを届ける潜在力を秘めているのです。広告主にとっては、質の高いクリエイティブへの投資が、結果的に大きなリターンを生む可能性があることを意味します。
訪日外国人に交通広告が届く場所は?
首都圏には多くの訪日外国人観光客を惹きつける魅力的なエリアや駅が点在しています。それぞれのエリア特性と、動線や関心事を踏まえた効果的な広告展開について見ていきましょう。
新宿:
新宿は、JR各線、私鉄、地下鉄が乗り入れる世界一のターミナル駅であり、東京都内でも訪日観光客数が非常に多いエリアです。駅周辺には大型百貨店、家電量販店、飲食店、エンターテイメント施設が密集し、新宿御苑のような観光名所もあります。特に新宿駅東口は、歌舞伎町やゴールデン街といった歓楽街へのアクセスポイントであり、多くの訪日客で賑わいます。
新宿駅構内や東口の大型ビジョン広告(クロス新宿ビジョン、新宿ウォール456など)は、その圧倒的な通行量と視認性から、強烈なインパクトを与えることができます。
渋谷:
渋谷は、ファッション、音楽、アートなど、日本の若者文化の発信地として世界的に知られ、特に若年層の訪日客に絶大な人気を誇ります。象徴的な存在であるスクランブル交差点や忠犬ハチ公像は、常に多くの観光客で溢れています。
広告媒体は、スクランブル交差点周辺の大型デジタルサイネージ群が中心となります。これらのビジョンは、その場所自体が観光名所化しており、広告がSNSで拡散されることも少なくありません。渋谷の広告環境は非常に競争が激しく、視覚的な刺激も多いため、広告クリエイティブには高い独創性とトレンド感が求められます。
上野:
上野は、成田空港から京成スカイライナーで直結しており、アクセスが良いことから多くの訪日客が訪れます。上野恩賜公園内には、東京国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館、恩賜上野動物園といった文化施設が集積しており、文化・芸術に関心のある層やファミリー層に人気です。株式会社unerryのデータによると、特にアジアからの来訪者が多い傾向が見られます。
広告媒体としては、JR上野駅公園口通路の「J・ADビジョン」や京成上野駅「上野ステーションビジョン」などが、訪日観光客の動線上にあり効果的です。
浅草
浅草寺や雷門、仲見世通りなど、日本の伝統的な風景や文化を体験できるエリアとして、訪日外国人に非常に人気があります。人力車での散策や和装体験、伝統工芸品のショッピングなども楽しめます。株式会社unerryのデータによれば、浅草を訪れる観光客は和菓子や丼物、居酒屋といった日本食への関心が高いことが示されています。
広告は、浅草寺周辺の駅(東京メトロ銀座線、都営浅草線、東武スカイツリーライン、つくばエクスプレス)構内や、駅ビル壁面の大型ビジョン「浅草東武ビジョン」などが有効です。特に文化体験や伝統的な商品・サービスを訴求する広告に適しており、街の景観と調和したデザインが好まれます。
池袋:
池袋は、アニメ・漫画・ゲームといったポップカルチャー関連の店舗が集積するエリアです。特にアジア圏からの若年層に人気が高く、株式会社unerryのデータでもアジアからの来訪者が多く、秋葉原や明治神宮前(原宿)を訪れる層との回遊も見られます。豊島区が「国際アート・カルチャー都市」構想を推進しており、演劇やアートイベントも盛んです。
広告媒体としては、サンシャイン60通りに面した「サンシャインビジョン」や、東口駅前の「ヒットビジョン」といった屋外大型ビジョンなど効果的です。このエリアのターゲット層は特定の趣味・嗜好を持つことが多いため、広告クリエイティブもその文脈を理解したものがより高いエンゲージメントを生むのではないでしょうか。
参照:株式会社unerry
失敗しないための選定ポイントと注意点
インバウンド向け交通広告を成功させるためには、魅力的なクリエイティブとスムーズな掲出プロセスが不可欠です。ここでは、言語・デザイン設計のコツと、掲出前に確認すべき注意点を解説します。
言語・デザイン設計のコツ
訪日外国人にとって、分かりやすく、文化的に受け入れられる広告を制作することが重要です。
英語は必須。アジア圏向けには中国語(簡体字)や韓国語も検討。
多くの訪日外国人にとって英語は共通語として機能しますが、出身国・地域によっては母国語での情報提供がより効果的です。特に東アジアからの観光客が多い日本では、中国語(簡体字)や韓国語への対応は有効な選択肢となります。重要なのは、単に翻訳するだけでなく、各言語の文字の特性を考慮したレイアウトやフォント選定です。
また、複数の言語を併記する場合は、情報過多にならないよう、優先順位をつけてバランス良く配置することが求められます。全ての情報を広告スペースに詰め込むのではなく、主要なメッセージに絞り、詳細はQRコードでウェブサイトへ誘導するといった工夫も有効と言えます。
訪日外国人向けの表現に不適切な言葉や画像を使わないよう、文化背景にも配慮
広告に使用する言葉遣いや画像が、特定の文化背景を持つ人々にとって不快感や誤解を招くことのないよう、細心の注意が必要です。宗教上のタブー(例:特定の動物や食材、肌の露出の多い表現)や、文化的・歴史的に敏感なテーマには特に慎重な対応が求められます。
不適切な表現は、ブランドイメージを損なうだけでなく、SNSなどで批判が拡散する「炎上」のリスクも伴います。事前にターゲットとする国・地域の文化や習慣について十分に調査し、懸念がある場合は専門家やネイティブスピーカーに確認することが賢明です。
掲出前に確認すべき注意点
交通広告の掲出には、事前の準備と確認が不可欠です。スムーズな進行のために、以下の点に注意しましょう。
出稿までのスケジュール(最低1ヶ月〜2ヶ月前)を逆算し、制作・審査・入稿に余裕を持たせる
交通広告の掲出までには、広告代理店との打ち合わせ、媒体の空き状況確認、申し込み、デザイン制作、鉄道会社など媒体社によるデザイン審査、広告物の制作・入稿、そして設置といった多くのステップがあります。人気の媒体では、申し込みやデザイン提出の締切が掲出開始の2ヶ月以上前となることもあります。
媒体社によるデザイン審査は、内容の適切性や公共空間への配慮などの観点から厳格に行われるため、修正が必要になる場合も考慮し、十分な時間的余裕を持って計画を進めることが重要です。
訳文や表現のチェックは、できればネイティブに確認を依頼する
多言語対応を行う場合、翻訳の品質が広告の印象を大きく左右します。機械翻訳や、ネイティブではない担当者による翻訳では、不自然な表現や誤訳が生じやすく、訪日客に意図が正確に伝わらないばかりか、ブランドの信頼性を損なう可能性もあります。
理想的なのは、広告コピーの翻訳・制作経験が豊富なネイティブスピーカー、あるいはターゲット国の文化を深く理解している専門家にチェックを依頼することです。単に言語的に正しいだけでなく、文化的背景を踏まえ、広告メッセージが持つニュアンスや魅力がターゲットに響く表現になっているかを確認することが重要です。
インバウンド向け交通広告で訪日外国人の心をつかむために
交通広告は、訪日外国人が日本滞在中に実際に目にする「生の情報」として、大きな影響力を持ちます。効果的な場所の選定や多言語対応、文化的な配慮を行うことで、広告は単なる掲出物から「体験」へと昇華します。観光客の行動動線と心理を的確に捉え、SNS拡散も視野に入れた質の高いクリエイティブを展開することで、ブランドの好印象と購買行動につなげることができるでしょう。
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営業部 春光
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