公開日:2023.02.27
更新日: 2024.08.15
最近、動画配信サイトで昔のドラマが再配信されていたため、いくつか懐かしいドラマ(20年以上前に放映したもの)を観ていたところ、現在の日常生活と異なる部分が多いことに驚きました。
携帯電話が無く、連絡手段は固定電話や公衆電話での通話、もしくはFAXでの通信や手紙のみ。
また至る所でタバコを吸うシーンがあり、歩きたばこはもちろんのこと、職場では仕事をしながらタバコを吸っているのが日常で、道路には誰でもいつでも購入可能なたばこの自動販売機がある、という時代だったなぁ~、と思い出しました。
その頃は喫煙に対して、そこまで問題視されていたなったため、当然のことながら、直接的にたばこを宣伝するCMも多く放送されていました。
しかし現在、たばこ会社が提供するCMは、抽象的な「イメージ広告」や、喫煙マナー向上を訴える「マナー広告」に限られています。
いつ頃から、このような状況になったのか調べてみたところ、たばこの広告については、2003年に国際的な取り決めがWHO(世界保健機関)の総会において採択され、それを受けて2004年に日本でも「製造たばこに係る広告を行う際の指針」が発表されたようです。
その理由は、ズバリ「たばこにより世界中でたくさんの命が失われてきたから」とのこと。
公衆衛生上の大きな問題として、世界的にたばこによる健康被害の防止に努めるようになりました。
この指針は「未成年者の喫煙防止及び製造たばこの消費と健康との関係に配慮するとともに、たばこ広告を過度にわたらないように行うこと」を目的にしており、 この指針に沿う形で、日本のたばこ業界では、広告に関する自主基準を設定し、現在はテレビ、ラジオや映画などでたばこの広告はしないこととされております。
(逆に現在放送されている「イメージ広告」や「マナー広告」は、この自主基準に則って作成されているということになります。)
また、加熱式たばこも、当然たばこと同様に扱われますので、加熱式たばこのCMも放送されません。
もちろん、テレビ、ラジオ、映画での広告に限らず、屋外広告や交通広告においても同様に規制されておりますが、たばことは全く関係のない広告でも、意匠内にたばこを吸っているシーンがあると、「喫煙を助長するかのようにうけとられるおそれがある」ということで、意匠審査の際には、そのシーンは削除するように指摘されます。
(実写でなく、アニメや漫画の場合でも同様です。)
しかし、テレビ等から姿を消したたばこのCMですが、最近「加熱式たばこ」のCMがネットテレビで盛んに放送されているのを観て、不思議に思いました。
これには主に2つの理由があるようです。
1つは、「ネットは双方向であり、年齢確認が技術的に可能であるから」という理由です。
たばこ業界は「未成年者の喫煙防止」に重点を置いていますが、ネットテレビではアンケートとして年齢を自分で記入することが出来るため、自主基準に反してないという考え方のようです。
また、もう1つの理由が、厳密に言うと「加熱式たばこのデバイスは、たばこ製品その物ではない」という考え方のため、あくまでも「デバイス」のCMとして放映しているからOK、という理由です。
「たばこ製品」の広告をネットで流そうとすると、公的な証明書による年齢確認が必要ですが、喫煙具に関しては、自己申告の年齢確認があれば広告を流していいことになっていて、事実上は喫煙にしか使えないデバイスにもかかわらず、たばこ業界の自主基準では「たばこ製品」にはあたらないため、ネットテレビで放映が可能という訳です。
交通広告においては、各電鉄で若干見解は異なりますが、「加熱式たばこ」も「たばこ」と同じ扱いになるため、概ね広告を掲出することは出来ません。
最近でも加熱式たばこについて掲出可否確認の依頼が時々ありますが、その都度お断りをすることになり、残念に思うことがあります。
世界的な流れなので致し方ないですが、個人的には、日常的にたばこが周りにある状況で育ったにもかかわらず、喫煙者にはならなかったので、 喫煙は自己責任であり、自分の意志によるもの、と思ってしまうのですが…
皆さんは、どうお考えでしょうか??
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