

みなさまこんにちは、今宵も交通広告コラムのお時間です。
駅を歩いていると、「あれ?」と足を止めてしまうことがあります。
大きすぎる立体物だったり、やけに質感が気になるポスターだったり、思わず写真を撮りたくなる光景だったり。
最近の交通広告は、ただ目に入るだけの存在ではなくなってきているように感じます。
通り過ぎるはずの場所で、少し立ち止まらせる。
いつもの通路を、ほんの一瞬だけ違う場所に変えてしまう。
そんな広告が、駅のあちこちに増えてきました。
このコラムでは、そうした「思わず見てしまった」交通広告の事例をいくつか振り返りながら、 いま駅でどのような表現が生まれているのかを、ゆるやかに整理していきます。
難しい話はさておき、まずは純粋に「最近の駅、ちょっと面白くないですか?」というところから始めてみたいと思います。
~交通広告にプラスのアイデア編~
⑴ 駅に現れた小学校の掲示板。TBSが“手づくり感”で盛り上げた世界陸上OOH

TBSは、世界陸上の開催告知として、東京メトロの新宿スーパープレミアムセットにて、大型交通広告を展開しました。
本施策では、スチレンボードにペーパーフラワーを一つひとつ貼り付け、小学校の教室や廊下にある掲示板をモチーフにしたデザインを採用しています。
掲示板上には、選手ビジュアルに加え、子どもが描いたようなイラスト、新聞記事風の情報、手書き文字などを重ね貼り。
遠目には「にぎやかで楽しそう」、近づくと「情報量が多くて思わず読み込んでしまう」構成となっており、通行者の滞在時間を自然に引き延ばす仕掛けが施されています。
カラフルなペーパーフラワーで縁取ることで、無機質になりがちな駅構内の中でも強い存在感を発揮。
競技の魅力や開催への期待感を“手づくり感”とともに伝え、世界陸上という一大イベントへの高揚感を醸成するOOH展開となっています。
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⑵ 触れなくても伝わる肌感。資生堂が“紙の質感”で語ったスキンケアOOH

資生堂は、スキンケアブランド「AQUALABEL」の交通広告として、渋谷駅・田園都市線ハッピーボードを活用した大型OOHを展開しました。
本施策の最大の特徴は、ビジュアルではなく“ポスターそのものの紙の状態”で肌悩みを表現している点にあります。
広告面には、「ザラザラ」「ヨレヨレ」「しわしわ」「ごわごわ」という4種類の肌状態を、それぞれ異なる紙のシワや凹凸加工によって再現。
遠目には一見シンプルな白面に見えながら、近づくことで違和感と意味に気づく設計となっています。
対照的に、タレントビジュアルと商品面はなめらかな質感で掲出され、肌変化のコントラストを際立たせています。
印刷物でありながら“触覚”を想起させる表現により、スキンケアのベネフィットを直感的に伝達。
コピーや説明に頼らず、媒体特性そのものをメッセージに転化した、OOHならではの高度なクラフトワーク事例です。
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⑶ 剥がして、かざして、聴く。ユニバーサルミュージックが仕掛けた“NFC連動ピールオフOOH”
ユニバーサルミュージックは、アルバム告知施策として、新宿スーパープレミアムセットにて、ピールオフとNFCチップを組み合わせた特殊OOHを展開しました。
掲出された盤面およびピールオフ用ステッカーにはNFCチップが内蔵されており、スマートフォンをかざすことで、アルバムに収録された未発表楽曲を試聴できる特設サイトへ遷移する仕組みとなっています。
「持ち帰れる広告」であるピールオフに、デジタル体験を付加することで、駅構内での接触にとどまらず、駅外・自宅・SNSへと接点を拡張。
剥がすという行為自体が参加体験となり、楽曲試聴という“ご褒美”へと自然につながる設計です。
物理的接触(ピールオフ)とデジタル接触(NFC)を掛け合わせることで、接触人数と体験深度の双方を最大化。
OOHを単なる認知装置ではなく、コンテンツ体験の入口として機能させた、音楽プロモーションならではの先進的事例となっています。
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~立体物掲出編~
⑷ 揚げ物が空を飛ぶ。SAFが“海老天飛行機”で伝えた循環型エネルギーOOH

持続可能な航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」を訴求するため、新宿スーパープレミアムセットにて、インパクトのある立体OOHが展開されました。
掲出されたのは、飛行機の形をした巨大な“海老天”の造作物。通路空間に突如現れる異物感が、強烈なアイキャッチとなっています。
本施策のメッセージは、「使用済みの食用油が、航空機の燃料として生まれ変わる」というSAFの仕組みを直感的に伝えること。
エビ天という身近で親しみやすいモチーフを用いることで、専門性の高いエネルギーの話題を一気に生活者目線へと引き寄せています。
巨大造作×ユーモア表現により、環境配慮という硬くなりがちなテーマを“思わず人に話したくなる体験”へと転換。OOHの空間支配力を最大限に活かし、理解促進と話題化を同時に成立させたサステナビリティ訴求の好例です。
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⑸ 平面から飛び出す“変顔体験”。KADOKAWAが新宿で仕掛けた参加型キャラOOH
KADOKAWAによる児童書『パンどろぼう』のプロモーションとして、新宿スーパープレミアムセットを活用したOOH展開が実施されました。
掲出されたのは、壁面を横断する大型ポスターと、その世界観から“飛び出してきた”かのような立体ぬいぐるみ。
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本施策のテーマは「へんがおチャレンジ」。
ポスター内で段階的に変化していくパンどろぼうの表情(STAGE1〜3)に合わせ、通行人自身も同じ変顔をして写真を撮り、SNSに投稿する参加型設計となっています。
立体化されたぬいぐるみは、写真を撮らずにはいられない“被写体”として強力に機能しています。
単なる認知獲得に留まらず、「体験→撮影→投稿」という行動導線を駅空間の中で自然に完結させている点が特徴的です。
IPの持つキャラクター性とOOHの物理的スケールを掛け合わせ、SNS拡散までを見据えた立体×参加型OOHの好例となっています。
⑹ 音と立体で世界観を召喚。NUVERSEが駅構内で仕掛けた“動くゲーム告知”
ゲームアプリを展開するNUVERSEは、新宿スーパープレミアムセットを活用し、没入感の高い交通広告を実施しました。
本施策では、出幅137cmの大型フィギュアを設置し、平面広告の枠を超えた立体演出を展開しています。
本展開は付近のビジョンと連動し、スピーカーから音を出すことで、ゲーム内の世界観を駅空間に再現。
視覚だけでなく聴覚にも訴求することで、通行人を一気に“ゲームの中”へ引き込む設計となっています。
通常は制限の多い駅広告において、イベント展開として出幅の大きな立体造作と音出しを組み合わせた点も特筆すべきポイントです。
OOHを単なる告知媒体ではなく、体験装置へと昇華させた、エンタメ系プロモーションの好例です。
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⑺ 駅の柱がキャラクターになる。ちいかわが池袋を占拠した“アドピラーOOH”

株式会社Juiceは、JR池袋駅改札外に位置するアドピラーアゼリアロードを活用し、人気キャラクター「ちいかわ」「ハチワレ」「うさぎ」の巨大ぬいぐるみを設置する交通広告を展開しました。
駅構内の柱そのものをメディアに見立て、等身大を大きく超えるぬいぐるみを“柱状”に配置することで、通路全体をちいかわの世界観で包み込む設計に。
単体でのインパクトはもちろん、複数体が連続して並ぶことで、歩行体験そのものがコンテンツ化されています。
SNS拡散との相性も高く、写真を撮らずにはいられない“ランドマーク型OOH”として機能。
広告枠を超えて駅空間そのものを演出装置に変え、IPの魅力を最大化したキャラクタープロモーション事例となっています。
~展示編~
⑻ 駅ナカがショールームに。マツダが東京駅で仕掛けた“移動導線ど真ん中”の車両展示OOH
マツダによる車両展示イベントが、JR東海・東京駅構内のイベントスペースにて実施されました。
新幹線・在来線が交差し、日々多くのビジネスパーソンや観光客が行き交う東京駅という立地を活かし、SUV「MAZDA CX-80」を中心とした実車展示を展開しています。
展示は改札内の通行導線に沿う形で設計され、デジタルサイネージと実車を組み合わせることで、移動中の視線が自然と車両へ誘導されます。
「立ち止まらせる広告」ではなく、「必ず通過する空間をブランド接点に変える」ことで、駅ナカという日常空間をショールームへと転換。
大型交通結節点ならではの接触量と、実物体験の強さを掛け合わせたOOH活用事例となっています。
⑼ 駅がそのままショーウィンドウに。バンダイナムコが品川で展開した“プライズ展示型OOH”
バンダイナムコホールディングスは、JR品川駅構内に設置された「品川ショーケース」を活用し、クレーンゲーム向けプライズ景品を実物展示するOOH施策を展開しました。
ショーケース内には、「ポケットモンスター」シリーズを中心としたぬいぐるみやフィギュア、関連グッズが並び、まるで店舗のショーウィンドウのような構成となっています。
ガラスケースという特性を活かし、商品を“触れられないが、じっくり見られる”距離感で展示することで、プライズのクオリティやサイズ感、世界観を正確に訴求。
駅利用者が足を止めて見入る設計となっており、ゲームセンターへの送客を意識した実用的なプロモーションです。
デジタルや派手な立体演出に頼らず、「実物を見せる」こと自体を最大の価値とした本施策は、交通動線上に常設できるショーケース媒体ならではの活用例。
IPの信頼感と商品力を前面に押し出し、OOHを“販売前の展示棚”として機能させた、極めて完成度の高い事例となっています。
⑽ 「CD聴こうよ。」を物理で訴える。Mrs. GREEN APPLE×150台のCDプレーヤーOOH
ユニバーサルミュージックは、Mrs. GREEN APPLEのデビュー10周年およびアニバーサリーベストアルバム『10』の発売を記念し、渋谷駅・田園都市線のハッピーボードにて大規模交通広告を展開しました。
地下通路に出現した巨大シート広告には、ベストアルバムのジャケットビジュアルと「CD聴こうよ。」というシンプルかつ挑戦的なキャッチコピーを配置。
さらに注目すべきは、シート一面に実際のCDプレーヤー約150台を並べた圧巻の立体演出です。
ストリーミングが主流となった時代にあえて“CD”というフィジカルメディアを真正面から打ち出し、視覚・物量でその存在感を再提示。
通行者に「懐かしさ」と「違和感」を同時に喚起し、立ち止まり・撮影・共有を自然に誘発する設計となっています。
メッセージと表現手法が完全に一致した、音楽プロモーションならではの象徴的OOH事例です。
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今回ご紹介してきた事例をあらためて並べてみると、 共通しているのは、無理に主張しすぎていないのに、なぜか記憶に残るという点でした。
派手な演出のものもあれば、素材や展示方法の工夫だけで印象を残しているものもあります。
ただ、どれも「駅という場所をきちんと理解した上でつくられている」広告だったように感じます。
人がどのように歩き、どこで立ち止まり、何に目を向けてしまうのか。
そうした感覚が、自然と表現に表れているようです。
交通広告は、つい規模や話題性で語られがちですが、 実際に心に残るのは、「ちょっと誰かに話したくなる体験」だったりします。
「あの広告、見ました?」と、あとから思い出してもらえるかどうか。
そこに、いまの交通広告の面白さが詰まっているのかもしれません。
次に駅で足を止めることがあったら、 「また広告に引っかかってしまったな」くらいの気持ちで、 少しだけ周囲を見渡してみてください。
案外、面白い景色に出会えるかもしれません。
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営業部 中屋
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