公開日:2022.10.31
交通広告への出稿業種において、出版社の広告出稿はバブルの時代に比べればかなり落ち込んではいますが、未だ重要な業種の1つになっています。
過去には電車内の中づり広告と言えば、雑誌や書籍、コミック等の発売告知ポスターが数多く掲出され、出ていない日が無いくらい目にしたものです。
その中づり広告によって雑誌の発売日知ったり、思い出したり、内容を知ったりして、それが直接購買意欲に繋がっていました。
しかし、出版業界の売上は、ちょうど消費税が3%から5%に上がった1997年から前年割れとなり、下降の一途を辿る事になり、特に雑誌市場は少子高齢化、インターネット、スマートフォンの普及などから需要が激減し、息の長かった歴史ある雑誌等の休刊、廃刊が相次ぎ、中小規模の本屋や雑誌、新聞の売上割合が大きかった駅売店等も次々に閉店しました。
時代と共に出版業界が紙媒体からデジタル媒体へ少しずつ移行を進めていく中、紙雑誌の売上は激減しましたが、紙書籍、紙コミックの下げ幅は比較的少なく健闘しているようです。
そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要の影響もあって、2020年から前年売上を上回るようになり、特に電子出版のシェアが増え続けています。
中でも電子コミックの市場成長は著しく、電子出版の9割に迫る勢いです。
この要因は何といっても日本が世界に誇れる「漫画」、近年の代表的なものでは「鬼滅の刃」(集英社)や「呪術廻戦」(集英社)、「東京卍リベンジャーズ」(講談社)などのアニメ化によるヒット作が続々と生まれたた事が大きく、今や出版市場におけるコミックのシェアは、紙、電子を合わせると2021年度では初めて4割を超え、過去最大の市場規模に達したそうです。
上記のような紙雑誌に連載の漫画に限らず、マンガアプリやウェブ連載されている作品からもヒット作が次々と生まれており、その流れは交通広告への出稿においてもかなり増えています。
テレビの情報番組の中でも、漫画好きのタレントや芸人がそれぞれ拘りの漫画を紹介するコーナーが最近では数多く見られます。
こうした漫画のヒット作は、アニメ化、映画化され、それに止まらず漫画を原作とした実写版のドラマや映画化も次々発表され、それに伴う商品とのタイアップと言ったら数知れず、各業界が多大な恩恵を受けています。
結果的に回り回って、出版に限らず各業界の商品広告にも繋がっているのです。
1997年に連載を開始した「ONE PIECE」(尾田栄一郎作、集英社)においては、2022年8月時点で103巻が発行され全世界での累計発行部数は5.1億部を突破!!「最も多く発行された単一作者によるコミックシリーズ」として、ギネス記録を更新中です。
アニメは放送23年目に突入、計15作目で現在公開中の最新映画は2022年9月時点で興行収入150億円突破、ハリウッドではドラマが制作中等、その勢いは止まりません。
2022年は予測ベースで経済圏が約1,000億円(ライセンスを小売価格ベースに割り出すと3,000億円級)、25年間では累積1兆円となるそうです。
100巻刊行の記念の際には、東京都港区に全100巻の背表紙を描いた幅18メートルの「巨大本棚」の広告が登場しました。
その「ONE PIECE」(尾田栄一郎作、集英社)も最終章に突入した事で、後何年連載が続くのか、まだまだ終わって欲しくないという気持ちと同時に、その後の出版業界及び各業界への影響を考えると少し不安になる今日この頃です。
お問い合わせはこちらメディア部 M